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short story about walus



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天井のシミを見つめる。目が乾く、徐々にまぶたが重くなる、たくさんの事が頭の中で生まれては消え、また新しい事がぷかぷか浮かんでいく。そのほとんどは無意味な事ばかりで、朝起きた時にはそのどれもがあとかたもなく体のどこにも残らず蒸発してしまうのだ。ウオラスの部屋は朝も夜も光が入らない。むしろ夜の方が明るいぐらいだ。今夜は特に満月の強い光がウオラスの部屋に漏れて来る。天井のシミを見つめる。喉が乾く、徐々に全身がベットに埋もれていく、空想、明日は何をしようかと思ったり、もうどうでもいいや、今日は疲れた、あいつ腹立つな、一日中心臓が痛かったな、俺は今日一日しっかりと生きれたかな。

今日もそれはウオラスを見ている。薄笑いを浮かべて、時にはもの凄く遠くで、時にはウオラスの横に寝そべって、ウオラスを見つめる。何かは、わからない。どうしてか、わからない。それはある日突然ウオラスの前に姿を現した。光の届かない部屋の隅の闇の中に、ある日それ、を見た。それは、何もいわない、ただ、薄ら笑いを浮かべてウオラスのベットで苦しむ姿を凝視している。姿はわからない、見る時はいつもその姿はぼやけてしまって、もすぐ目の前にいてもその姿をどうしても見る事はできなかった。ただ、わかるのだ。ウオラスが弱くなる度にそいつは笑うのだ。そしてきまって今までみたこともないようなダンスを踊りだすのだった。そいつはいつも陰みたいに存在して、でもウオラスを飲み込んでしまえそうな威圧感と闇の深さを持ちながら、そこから異様なエネルギーを放出している、存在しているというより、生きているといったほうが近いのかもしれない。ある日突然現れたそいつは、その後ウオラスから片時も離れた事はない。ウオラスは消え去れすぐに、と何度も呟きながら睨む。くるひもくるひも鋭い眼光で睨みつけ、迫り来る恐怖を押し殺して、目をそらさずに対峙する。速くなる鼓動のせいで、胸が急激に痛む。右手が痺れる。同時に孤独が押し迫って来る。滲んだ汗が目にしみて、視界がぼやける。なんで俺が?なんで俺だけがこんな苦しい思いを?そんな事を口にしても自分が楽になる訳ではなかった。むしろ惨めな気持ちになった。そして同時にあいつも笑った。ウオラスが苦しむとあいつは逆にわらった。ウオラスが笑顔のときはそれはあらわれなかった、けど次第にウオラスは笑う事が出来なくなって、なぜこうなったのか、という事ばかりを考えるようになった。その苦しみや痛みは苦くしょっぱい味がして全身にこびりつくのだ。その匂いは一日中全身から離れる事はなくていつしかその苦しみ自体が生活の中心になっていった。いつまでも続くような錯覚の恐怖と疑問、矛盾と不安がまざって、気がどこかにいってしまいそうな日もあった。ウオラスは自転車に乗るのが好きだった。自転車に乗っている時は嫌な事、心臓の痛みさえも忘れる事ができた。この風にのってどこまでもいけたらいいなあと思いながら何時間でもどこへでも自転車にのって出かけた。一緒に走る風だけは、どんなに苦しいときでもウオラスの味方でいてくれるような気がした。自転車に乗りながら、頬にあたる風を感じる度に、この風は世界のどんな場所からここにたどり着いたのだろうかと考えて、その風が見てきた風景を頭で思い浮かべながら、自分もその場所で風と一緒に空をまってみるのだった。ウオラスにとってその光景は嘘でもあり本当でもあった。現実でもあり非現実でもあった。君にはわからないかもしれないね。でもそんなことはウオラスにとってはどうでもよかった。自分が楽しんでいる世界がある。全てを忘れる事ができる時間がある。それを持っていることだけでウオラスにとっては幸せであり唯一の美しい時代であった。

目をあけるとそこは見たことのない景色が広がっていて、ウオラスは夢の中なのか現実の中なのか一瞬わからなくなった。でもいつも次の瞬間に夢であることにきがつく。ウオラスはよく夢を見た。ほとんど毎日といっていいほど夢を見て、その夢を覚えていることができた。人は必ず夢をみているのだという、ただ覚えていないだけなのだ。ウオラスの夢も断片的でとってつけたようなストーリーの展開にくわえて、場所もころころ変わった。ウオラスが他の人々と唯一違う点と言えば例えば夜中に一度目が覚めてしまってその夢の途中で起きてしまっても、またその夢の続きをみたいと思ったら続きから見る事ができた。それはもう小学生からの癖で、みな誰もが自然にやっていることだと思っていたのに、同級生の中にはウオラスのように器用に夢を操る少年はいなかった。そして20歳になった今でも夢は毎日見る、そして大人になっても見たい夢の続きを見る事ができた。でも今日の夢はとても不思議で、懐かしくて、でもどこかつめたくて、おそろしくて、その夢からさめたときに、なんだかとてもいやな感覚があった。

見た事のない風景にウオラスは立っていた。遠くの方には小さい山々が見えてふもとの方にはいくつかの田んぼがあった。ぱっとすぐ左をみると流れるプールがあって、そこにはたくさんの子供達が楽しそうに泳いでいる。その中にはウオラスの友達もいたような気が、する。季節は夏の終わりだろうか、少し肌寒い感じだった。でもそれはその場所に太陽が昇らないからだったのかもしれないが、その寒さの中ではしゃぎながら泳ぐ子供達を不思議に思いながら、ウオラスは友達と3人、(2人は知らないオトコの子だったがその場所では友人であった)で自転車に乗ってその遠くの景色を見ていた。なぜか3人とも泥だらけで汗だくだった。とても喉が乾いていて気持ちはそわそわしていた。じきにその友人はなにかを話し始めた。忘れてしまったけれどきっとそれは学校のことだったり誰かの悪口をいっていた気がする。どれくらいそこにいただろうか、ふっとまた遠くの景色に目をやった時、小さくそびえ立つ2つの山が煌煌と燃えあがっているのが見えた。火は見る見る内に燃え広がって空は黒い煙に覆われて黒と赤が混ざりあった地獄のような色になった。すぐ傍の畑も煙で全くみえなくなって、その炎はあっというまに高くなって雲まで届いてしまいそうな勢いだ。プールで泳ぐ子供達はびっくりして泣きながら逃げまとい、まわりにいた大人達も急に叫びだし一目散に逃げていく、それはびっくりするぐらいの慌てようでウオラス達は逆にあっけにとられてしまった。3人はなぜか落ち着いていた。まるでその街が燃えてしまうのをわかっていたかのように、冷静にしかししっかりとその光景を見ていた。人々の悲鳴と動揺の中で3人は東の方向から見える大きな炎から目をそらさなかった。そして一人がいくか、といった。何も言わず二人頷いた。不思議と恐くはなかった。ただ、ここにいてはだめだという本能とでもいえるような感情が湧いてきて他の二人も同じ気持ちでこの炎を見ているのだとわかると、とても嬉しくてかけだしたくなった。みな汗だらけで泥だらけだった。とても疲れていて、のどもカラカラだった。けれど3人は何も気にせず東の方向に自転車を走らせた。力つきるまで自転車を走らせた。

夢の中で現れたその不思議な場所にはたくさんの物があってたくさんの人がいた。その夢の中ではずっと夜だったのを覚えている。おそらくその場所で長い時間を過ごしていたはずなのに朝はずっとやってこなかった。年は少し今より若い、17歳ぐらいであったような気がする。まだこころが軽く飛び回っていた頃の、なつかしいような、さみしいようなカラダだった。

屋上からみえる西側の景色の中には緑はまったくなくて、とても冷たい、暗い景色が広がっている。からだを180度回転させて東の方向に目をむけると、太陽が真っ赤に光って今にも地平線に消えようとしているのが見えた。ほほをつたう風はぬるくて少し湿っていて、それが音もなく流れている下の方で、トラックやクラクションの音がとても遠くて、薄紫色にそまった夕方のひろい空に少しだけ響いていた。ビルとビルの隙間から豆粒ぐらいの大きさの人達が列をつくって町の中をいったりきたりするのがみえる。ビルや人の混ざった景色をこの屋上から見上げると、いつもきまってふしぎな気持ちになる。それはこの町の景色がとても綺麗だからなのか、それとも空や雲がとても鮮やかだからなのか……どちらでもないような気がするし、どちらでもいいような気もする。でもよくわからないふわふわしたような気持ちが妙に気分を落ち着かせた。きまった時間に屋上にのぼって、きまった方向のこの遠い景色を眺めることが日課になった。ここは同じ目線の中に誰もいない場所、であり自分もまた大きなものの中にいる一つの“景色”であることを確認できる場所でもあった。その場所にいると、いろんなあらゆることに対してとても素直な気持ちになって、いろんなことを許せる一つの“景色”になることができて、いつか誰かとこの景色を見たい、と思った。

大した事ではない。その踏み出した足はそれでもただの一歩だから。どこへいくのでもない。なにがあるわけでもない。ただ、俺とお前がいるだけ。そこにまつわるあらゆる出来事が、まるで世界が現実であるように、錯覚させるのだ。かきつらねた全ての空白は俺自身。ただやみくもに歩くだけで、何も手に入れようとはしていないではないか。そんな日々の中に、俺とお前がいるだけ。お前は陰、お前は闇。俺はお前を大嫌いだが、お前がいないと生きてゆけない。

真実は恐ろしいもの。
さらけだされたもの。
いまだみたことのないもの。














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コメント


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随分とステキな階段だねぇ。 スキ。

naho | URL | 2006-07-17(Mon)23:27 [編集]


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